先日母を満90才で見送りました。
家族だけの見送り、宗教色を無くしたセレモニーと決めてはいたけれど
実際はどのようにしたらいいのかとても迷いました。
私は縁あって早くから葬儀について学ぶ機会があり『認定NPO法人葬送を考える市民の会』の会員になっていました。http://soso-npo.com/f-set/f-set-top.html
そこで初めて知ったのは『人が亡くなった時必要なのはこの4つ』
⚪︎死亡手続
⚪︎遺体搬送の車
⚪︎棺ひつぎ
⚪︎骨つぼ
それ以外はオプションで、どのように演出しても構わないということ‥
母の緊急入院から旅立ちまで2ヶ月。
心落ち着かず疲弊していましたが、この間に私たちなりの母への見送りの仕方を考える事ができました。
アロマキャンドルを揃え、小さなキャンドルもいくつも準備しました。
お線香として選んだ香りは、ベルガモットと竹‥ 次男とともにセレクトショップに出向き、実際に香りを試して選ぶことができました。
東京から駆けつけた長男は
「会場の前からいい香りがして、お葬式の悲しさが和らぐね」
と言いながら、入ってきました。
棺(ひつぎ)は、環境に配慮したメーカー『エコフィン』をオーダー。
以前から森林環境に関心を抱く中で、アロマの恩師のワークショップで紹介されたエコフィンを知りました。
プラン外で追加料金はありましたが、私のこだわりを通してもらい、葬儀社にも快く応じてもらえました。
その棺ひつぎを帯で飾ります。
そして、一番心癒されたセレモニーは、湯灌師さんによる『納棺の儀』
母の体を清めるために手足を拭く事を手伝わせてくれます。
そのあと、旅立ちに用意した母のお気に入りの着物に着替えます。
その際も一切肌は見せず、流れを手伝わせてくれる手際の良さ。
化粧を施す際も、湯灌師さんは
「生前の印象になるべく近づけて仕上げますね」と言ってくれ、
私に紅の色も選ばせてくれました。
1時間かけて丁寧に旅立ちの支度を整えてもらい、
母を大切に扱ってもらえたことに、
とてもうれしくありがたく、
感謝の気持ちでいっぱいになりました。
翌日の告別式は、
家族6人だけが会場に集います。
従来であれば、弔問客への挨拶や対応・僧侶による読経により時間が流れていきますが、
ゆっくりと故人に思いをはせる時間にしたいと、
母への手紙をしたためるひとときを作りました。
その手紙を、それぞれが花と共に棺(ひつぎ)に納めます。
お花はプランに含まれていましたが、予め信頼しているお花屋さんに追加をお願いしていました。
意向を汲んでくれたアレンジの優しい色合いに、とても癒されました。
音楽も、雰囲気を大切にした「音」を次男が選曲しセレモニー全体で、流し続けました。
こうした時間こそが、これまでの母と過ごした時間に感謝し、
お別れに向かう覚悟ができたひとときになったように思います。
『セレモニーは残された家族のためにある』と言われますが、
身をもってそれを感じることができました。
今は家族葬の葬儀社がたくさんあり、プランも多彩です。
大切なのは、『自分たちの希望を叶えられるか確認相談しながら選んでいくこと』と、
『葬送の会』の斎藤さんからのアドバイスを受けて、今回このようなセレモニーが実現しました。
大切な人を失った悲しみをそれぞれがじっくりと思い味わい、
自分たちのための故人を送る時間となった満足感がありました。
これからを生きていく私たちの「区切り」となるような思いです。
母が終末期を過ごした2カ月間。
弟とのきょうだい間のわだかまりがほぐれてきたこと、
家族それぞれができる形で力を出し合えて、心残りなく終えることができた、そう思っています。
葬儀に向かう状況はそれぞれです。
危篤の連絡が急だったり親族で考えが違ったりで、思い通りに行かないことの方が多いかもしれません。
でも、
従来の葬儀のイメージに固執する必要はないのだという事実を知り、
私の事例がどなたかのお役に立てばと思い、
ブログに残させていただきました。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。